課題が構造的に整理され、具体策が見えた。NTTデータが次世代の人材育成にコンサル集団を巻き込んだ理由

課題が構造的に整理され、具体策が見えた。NTTデータが次世代の人材育成にコンサル集団を巻き込んだ理由

  • 次世代を見据えた人材の育成が課題となっていたところ、課題の構造的な整理とニーズに沿った提案、人材研修経験の豊富さを決め手にメルセネールに支援を依頼
  • メルセネールでは次世代リーダーの要件定義と育成プログラムの設計・実施を支援
  • 「組織の次世代を担うリーダーの要件定義」「対面に縛られない柔軟な研修手法の確立」「社員の主体性創出」等の成果が得られた
  • 参加者の約85%が研修内容を実務に生かせると評価

株式会社NTTデータは、国内最大規模のSIer企業として、13以上の業種に対し、「ビジネスニーズ」「テクノロジー」「ITインフラ・運用」に関する事業を展開しています。 

これまでメルセネールは経営・事業の視点を生かし、事業開発人材を輩出する「実践型育成プログラム」を行ってきました。その実績が評価され、NTTデータ様からメルセネールに組織の次世代を担うリーダーの要件定義と育成プログラムの設計・実施の支援をご依頼いただきました。今回は株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 古思様、寺本様、村田様の3名に、依頼背景をはじめ、メルセネールがNTTデータにもたらした影響について伺います。 

抽象的だった課題を構造的に整理し、取り組みを後押ししてくれた

メルセネールへご相談いただいた背景とそのきっかけになった当時の「貴社が抱えていた課題」について、簡単に教えてください。 

古思:NTTデータにおけるビジネスの構造上、「仕様で求められる品質・コスト・納期のQCDを守り、つくる」という傾向が、システムインテグレーション事業、特に公共部門においては強く見られます。ただ、公共事業は国を始め、多くの関係者を巻き込んで行うことから大規模で複雑になりやすく、QCDを厳守した事業運営は並大抵のことではありません。ある意味でNTTデータの強みと言っても良いでしょう。 
 
一方、NTTデータの10年から15年先を考えると、この強みだけでは生きていけないという危機感を持っていました。時代の変化に対応する意味でも、顧客課題やニーズを理解し、主体的にかつ積極的なご提案ができる存在へ変化する必要性を強く感じたからです。 

 (株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 古思様) 
 
2020年7月に私が本部署へ異動となり、寺本・村田と共に「組織の人材育成」という点から何ができるかを模索してきました。しかし、全員が人材育成は初心者のためか、全体像は見えているものの、「何から手を付けたらいいのか?」「どれがアプローチとして正しいのか?」が分かりませんでした。効果的に進めるためにはアドバイザーが必要と判断し、外部に頼ることとしました。 

 貴社の課題や悩みを外部へご共有する中で、メルセネールに出会ったと伺いました。 

古思:はい、そうです。外部の方にお話した際、「その課題を本当に解決したいのなら、メルセネールに相談しては?」とプッシュしてもらったことをきっかけに、メルセネール代表の大道寺さんとお会いしました。 

 実際にお話した印象はいかがでしたか? 

古思:私たちの抽象的でふわふわしていた課題を構造的に整理し、課題解決に向けて自分たちがやらないといけないことを、大道寺さんのご経験から具体的な言葉へ落とし込んでいただいたことをよく覚えています。 

寺本:NTTデータに対する傾向分析の速度もさることながら、提案までのスピードも早かったです。私たち第二公共事業本部として足りないところや得意な点を理解した上で、目的に合った研修プロセスを迅速にご提示していただいたのが印象的でした。 

古思:提案においても、我々の課題を構造的に分析した上でお話いただいたことから、「メルセネールに伴走してもらえるのなら、なんとかなるかも」という安心感と期待感から、他社は検討せず、速やかに支援へ入ってもらいました。  

メンバーの一員にメルセネールが加わることで「期待していたこと」を教えてください。 

寺本:今までになじみのないスタイルでも積極的に提案ができるだけのスキルや言葉遣いが、共通言語化されていくような世界を社内に築き、将来的には組織力の強化につながっていくことを期待していました。 

村田:さまざまな企業と交流のあるメルセネールとのやり取りから、他社で同じような立場にある方の考えや学びをインプットしてもらえる場になればと言う期待もありました。メルセネールの講師と研修に参加予定の社員たちは、世代として近かったこともあり、同じビジネスパーソンとしても刺激になればとも思いました。 

コロナ禍でも開催できたのはプログラムに対する柔軟な対応があったから 

本プロジェクトの概要ならびにメルセネールが行なった支援内容について簡単に教えてください。 

村田:今回メルセネールには大きく2つの支援を行ってもらいました。1つは、第二公共事業本部としての課題把握です。約3カ月かけて議論する中で、求められる人材像や育成に向けた内容などを話し合いました。もう1つが、実施した次世代リーダーの研修です。メルセネールにはこの研修における内容設計及び講師として参加してもらいました。 

研修内容はどのようなカリキュラムで進めたのでしょう? 

村田:次年度以降の事業計画に入り込めるような事業づくりをゴールとし、事業の作り方やそのプロセスを今回学んでもらいました。公共事業本部の各部門から次世代のリーダーを担うメンバーとして30名近くの社員を選出し、3〜4名のチームで事業づくりに取り組んでもらいました。メルセネールの方々には、講師としてはもちろん、各チームのメンターとしても研修に参加してもらいました。 

 (株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 村田様) 

本プロジェクトを実施する中で、運営の皆様が特に大変だったことや苦労された点を教えてください。 

村田:研修自体は2021年8月末から開始しましたが、コロナ禍中での実施ということもあり、スケジュールや研修方法の調整に苦労しました。元々、対面での研修を想定していたのですが、感染拡大予防の観点から座学ではオンラインを取り入れるなど、オンラインとオフラインをミックスさせることで、実施へ漕ぎ着けました。メルセネールの皆さんからは、「こういうプログラムに変更できますよ」と情勢と私たちの希望を加味しながら、都度ご提案をいただき、非常に助けられました。 

今回、研修内容を検討するにあたり、メルセネールと特に議論を重ねたのはどのような点ですか? 

村田:情勢や研修条件などの制約が多い中、「どのようにして、やりたいことを実現するか?」について何度も話し合いを重ねました。研修内容から対面でのやり取りを重視したい一方で、参加者の多くが各事業部の中核としてさまざまな業務を抱える中、どうしたら参加者により充実感ある内容を提供できるかを議論しました。 

社員の主体性の引き出しと心理的安全性を両立したメンタリング 

今回実施したプログラムに対し、参加者からはどのような声が届いたかを教えてください。 

村田:アンケートを元にお話させていただくと、座学部分は「説明もテキストも分かりやすく、理解がしやすかった」という声が多数寄せられました。実際に参加者の90%近くが「説明が非常に分かりやすかった」と回答しています。インプットが中心となる座学ではテキストや教え方が大切だとは思いますが、メルセネールの皆さんがしっかりと講義を実施してくださったのが、アンケート結果から伝わってきました。 

事業構築のフェーズについてはいかがでしょう。 

村田:「メンタリングでは根気強く向き合ってもらった」など、事業構築に向けた感想や壁打ちに対するお礼がいくつも上がっていました。事業部におけるビジネスの特性上、ほとんどの参加者が0から1を生み出す経験がないため、相当苦労することは私たち事務局も予想はしていました。 
 
上手に意見がまとまらなかったり、ふわっとした状態で壁打ちに臨んだりする社員が多い中、研修も終盤になるとしっかりとビジネスの形になっており驚きました。メルセネールの皆さんのご経験から裏打ちされたプロセスや知識の引き出しはもちろん、相談のしやすさが大きかったと思います。 

「ここまで考えていないと相談ができない」ではなく、もやっとした段階でも安心して相談できたことが、成果に繋がったのではないかと感じました。まさに参加者が安心して頼ることができる、心理的安全性を構築する関係性づくりが行われていたと思います。 

寺本さんはここまでのお話について、どのように思われましたか? 

寺本:確かにメンタリングでは粘り強く参加者と向き合われていました。特に社員の主体性を引き出すことに注力しながら伴走している様子が印象的でした。すぐに答えや方針を示すのではなく、話の切り口や表現を適宜切り替えながら、その人なりの回答が出るまで待ってくれるんです。 

ある回では、もうそろそろ会議室を締める時間だからと見に行ったら、思うように答えが出ない社員の話にメルセネールの方たちが粘り強く向き合っていてくれました。それこそ、僕たちが声を掛けなかったら「いつまで残ってくれるのだろう」と思ったぐらいです(笑)。 


(株式会社NTTデータ 第二公共事業本部 寺本様) 

 この時もそうでしたが、メンタリングを行うメルセネールの姿勢に、仕事として請け負っているから付き合っているという様子は一切ありません。社員たちの課題感を理解しているからこそ、一緒になって成果を出そうと取り組んでいる様子が印象的でした。 

薦めたいのは「課題意識が分からず悩んでいる人」「具体的なアドバイスがほしい人」 

(取材にご協力いただいた第二公共事業本部の3名と研修を担当したメルセネールメンバー(両端)) 

今回の支援内容を踏まえ、どのような企業に対しメルセネールを薦めたいと思いますか? 

古思:明確に課題認識がある方も良いと思いますが、逆にそういうのが分からないで悩んでいる方、具体的なアドバイスが欲しい方にこそメルセネールに相談したらと伝えたいです。 

なぜ、このような方々へ薦めたいのでしょう。 

古思:メルセネールは、ふわふわした抽象的な部分を具体的に落とし込み、成果が出るようにと顧客の課題を先取りするような形で提案してくれるからです。相談者の意向や想いに寄り添わない、いわゆるテンプレート形式の提案をする企業も少なくないため、最初に話を聞いた際には、彼らのこのスタイルは本当に良い点だと思いました。 

寺本:そうですね。ざっくばらんに会社の現状や今ある情報を渡す中で、自分たちにはない新しい視点から「あなたたちの会社はこうですよ」と分析・提案をしてくれたのは印象的でした。 
 
経験の豊富さも強みの一つでしょう。メルセネールには、中小企業・大企業と、さまざまな企業を経験したコンサルタントが所属しています。彼らが起爆剤として会社に良い刺激を与えてくれること、それだけの期待が持てるメンバーであることは、一緒に働く中で実感しました。 

最後に、新規事業人材検討・プログラム展開に悩む企業とその担当者に向けて、皆様から今後進める中で意識するとより良くなるポイントもしくはアドバイスを一言ずつをお願いします。 

村田:私は今のチームに配属されてまだ2年目ですが、人材育成という成果が見えにくい分野だからこそ、ある程度の長期的な視野を持つ一方で、まず一度やってみるということが大事だということを学びました。もし私たちの話から少しでも興味を持たれた方がいらしたら、まずはお話だけでも聞いてみていただけると嬉しいです。 

 寺本:私からは苦労した点になりますが、今回事業を進める中で、事業のスポンサーとなる事業部の幹部層への説明が大変でした。ぜひ、これから同様のプログラムを考えている皆様にはスポンサーと事務局とメルセネールが三位一体で動けるよう、早いうちに顔合わせをして、関係者を巻き込みながら話を進めていってほしいです。 

 古思:メルセネールは、プロジェクトを単に進めるだけでなく、きっと皆さんの良き相談相手にもなってくれるはずです。 

 ただ、良き相談相手になってもらうためには、自分たちの考えを間違えても良いので持っているほうが、より具体的なアドバイスが得やすいと思います。間違いを恐れずに仮説や自分たちがやりたいことを相談時点から、どんどんメルセネールにぶつけてください。多彩な引き出しを持つメンバーが揃っており、クライアント伴走力も十分あるため、きっとさまざまな提案や意見をくれるはずです。 
 
今回のプロジェクトで苦労したことは多々ありますが、個人的には楽しかったです。課題解決を楽しみながら一緒にやってくれるという意味でも、引き続きNTTデータとしては長くお付き合いしたい会社の一つです。 

皆様、ありがとうございました。 

 

メルセネールでは、新しい事業やソリューションの創出を担う次世代リーダーの要件定義や育成プログラムの設計・実施を行っています。さまざまな業界、企業規模において実績がございますので、一度詳しい話を聞いてみたいと思われたご担当者様は、ぜひこちらよりご連絡いただけますと幸いです。貴社の現状や課題をヒアリングさせていただきながら、お話をお伺いできればと存じます。2営業日以内(目安)に、担当者からご返信させていただきます。 

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