村田製作所の担当者が語る「700ページに渡る新規事業開発の方法論」の伴走にコンサルタントを選んだ狙い 

村田製作所の担当者が語る「700ページに渡る新規事業開発の方法論」の伴走にコンサルタントを選んだ狙い 

  • 【支援前の課題】
    ・新規事業の開発を担う人材の育成基盤となる事業開発の基本プロセスの形式知化
    ・新規事業開発に向けた具体的な手法の検討と方法論への落とし込み
  • 【導入の決め手】
    ・クライアントが求める強みとのマッチング
    ・支援を行うコンサルタントの質と人柄
  • 【得られた成果】
    ・新規事業開発に向けた社内方法論の骨格と要件を定義
    ・700ページにおよぶ村田らしい方法論の確立

株式会社村田製作所は、最先端の電子部品や多機能で高密度なモジュールなどを製造する、総合電子部品メーカーです。同社の部品はAV機器やスマートフォン、PCをはじめ、ロボット・産業機器、自動車、ヘルスケアなど、分野を越え、多岐に渡り提供されています。

これまでメルセネールは経営・事業の視点を生かし、新規事業創出に向けた仕組み作りとその機会提供に携わってきました。その実績が評価され、株式会社村田製作所様から新規事業開発に向けた社内方法論作成と同プロジェクトの参加をご依頼いただきました。

今回はプロジェクトメンバーである株式会社村田製作所 事業インキュベーションセンター シニアマネージャーの竹嶋様、新規事業推進部の臼井様に、依頼背景をはじめ、メルセネールが社内プロジェクトに参加した意義を伺います。

村田製作所らしい新規事業の型をつくるために「自由度としなやかさを持つパートナー」を探していた

インキュベーションセンターの設立背景と併せ、ご相談のきっかけとなった課題を教えてください。 

竹嶋様(以下敬称略):当センターは、数年前に事業インキュベーションを担う部隊として設立されました。当社の研究開発(R&D)部門内にある技術のタネを「事業」として大きく育てる役割を担う部門になります。しかし、事業計画を考えるための蓄積されたノウハウはまだまだ少なく、事業計画を考える手法は個人の能力に依存している部分も大きいです。 

この個人の能力に依存している現状を問題視し、その状況を脱するため、「社内外の知見を融合してビジネスプランニングの型を作ろう」と本プロジェクトを立ち上げたのです。しかし、我々自身がビジネスプランニングや事業を創造していくスキル、ノウハウを持ち合わせていなかったため、外部の力を借り、現状を打破できないかと考えました。 

 (竹嶋様) 

メルセネールへご相談いただいた背景とそのきっかけについて簡単に教えてください。 

臼井様(以下敬称略):メルセネールのセミナーを受講したことがきっかけです。セミナーから「事業開発に対し、他社とは異なりご自身の言葉で語り、独自の絵を描かれていること」が伝わってきたため、受講後すぐにメルセネールへ問い合わせました。 

実は今回、メルセネールも含め、7〜8社のコンサルティング会社にコンタクトを取り、お話を伺いました。「人柄」「村田製作所のターゲットとコンサルティング会社が持つ強みとのマッチング」「お願いできる事業開発フェーズ」の3軸から各社を判断するなかで、唯一、当社のニーズとマッチしたのがメルセネールでした。 

竹嶋:私たちは仕事を依頼するかどうかを決める際、会社規模や肩書きではなく、一緒に働く人が大事だと思っています。今回も、担当者の方のスキルと実際にお話したときの人柄も含め、依頼を決めさせていただきました。 

メルセネールがメンバーの一員に加わることで「期待していたこと」を教えてください。 

臼井:BtoB事業をメインとする村田製作所ならではの課題にフィットした考え方で、一定の自由度を もってチューニングしてもらえることに期待をしました。 

竹嶋:「新規事業をどのような基本プロセスで開発するか」に注力し、網羅的にまとめてもらえるパートナーかを重視しました。私たちとしては、制度を作りたいわけではなく、情熱の醸成がしたいわけでもなかったからです。そのため、ディスカッションを通し、方向を修正するしなやかさを持つ相手かどうかが重要でした。 

伴走があったからこそやり切れた」700ページに渡る虎の巻完成までの道のり

今回、メルセネールが参加した「新規事業開発に向けた社内方法論プロジェクト」の概要について教えてください。 

臼井:本プロジェクトは「新規事業のビジネスプランニングに関わる社内外の知見やスキルを言語化し、再度新規事業担当者にインストールすること」を目的に2021年度に発足しました。具体的には、集められた情報を虎の巻として編纂し、一つの情報としてまとめ上げることを目指していました。 

実際に、メルセネールはどのような支援内容を行いましたか? 

臼井:方法論の骨格作りと新規事業の開発書となる「虎の巻」の内容作成の2つです。プロジェクトの前半では骨格作りを、後半では虎の巻の内容決定と執筆を行いました。当初、執筆は我々も担当する予定でお話を進めていましたが、メルセネールの皆さんと相談し、最終的には大半部分の執筆をお願いしました。 

(臼井様) 
本プログラムを実施する中で、皆様が特に大変だったことや苦労された点を教えてください。 

臼井:前半に行った方法論の骨格作りでは、言葉の定義とそのすり合わせに苦労しました。メルセネールに言葉の定義を統一してもらい、それをリスト一覧としてプロジェクトメンバーへ展開できたおかげで、常に全メンバーが共通認識を持ち、進めることができました。私たちが疑問を持った部分は、社内展開をする際にも同じ問題として現れる可能性があります。だからこそ、明確化した上で進めたいと考えていたのでありがたかったです。 

竹嶋:後半の執筆場面では、分かりやすさを考慮していくなかで、最終的に虎の巻が700ページ近くにまで増えました。当初は200ページぐらいの予定で進めていたので、一時は「期間内に本当に終わるのか?」という不安に襲われました。 

臼井:確かに、私も不安でした(笑)。後半に入ってからは、毎週の定例ミーティングも含め、どの内容も濃い議論ばかりだったためか、お話を理解して、質問を繰り返すだけでも、相当のパワーが必要でした。それでも理解が難しかったところは、メルセネールから「次回までに資料として作成し、追加しますね」と何度か提案をいただいて。不安な気持ちを抱えていたものの、疑問点に柔軟に寄り添ってもらえたので、心強かったですね。 

竹嶋:そういう意味では臼井も私も、漠然とした不安を抱えた状態で後半は進めていましたが、完成までやり切れたのはメルセネールの伴走があったからこそだと思います。 

自由度と柔軟性のある対応がプロジェクトを成功へ導いた 

 皆様が作成した「虎の巻」をご覧になり、社内からはどのような反応がありましたか? 

臼井:特にR&D部門を中心に、事業開発のアーリーフェーズに携わる人を中心に社内では興味を持ってくれています。技術のタネから事業を作ろうと考えている人たちが、自分たちがつくったものをどう事業にしていくかを考える最初の一歩にしている印象です。 

今回作成した虎の巻の社内活用・浸透に向け、現在どのような取り組みを進めているか教えてください。 

竹嶋:臼井が講師となり、虎の巻の浸透に向けた勉強会を実施しています。 

臼井:はい、参加者の事例に沿った内容で勉強会の開催、講義内容の設計を行っています。参加者は、R&Dの各部門から集まった約15名の社員です。 

社内浸透を進める上で、気をつけていることや課題を覚えることはありましたか? 

竹嶋:「虎の巻は魔法の書ではない」ということを意識的に伝えています。虎の巻を使えば、今考えたものがガラッと変わるわけではありません。あくまで抜けている視点や考え方を増やしていくことで、アイデアをより強固なものにするために活用するものです。このことを理解した上で使ってもらっています。 

一方で、勉強会に参加していない人や部門内でも虎の巻をよく知らない外の人たちから見ると、「虎の巻があるんやから、事業プランニングを作っておいてよ。簡単でしょ?」という感じなんです。どうしても「虎の巻の通りに考えたら、上手いこといくんちゃうの?」みたいに思われがちなんですよね。その辺りのギャップを、部門の中から外まで含めて、どのように理解を浸透させていくのかが、今出ているもう一つの課題だと感じています。 

臼井:勉強会を実施していくなかで強く実感したのですが、参加者ごとにフェーズも課題も相当異なります。虎の巻を浸透させる意味でも、今後は定着面においてもメルセネールに伴走してもらう必要性を感じています。 

本プロジェクトを振り返るなかで、メルセネールが参加した一番の効果は何だと思いますか? 

臼井:一口でいうなら「自由度と柔軟性」のある対応をしてもらったことです。そのおかげで、本来の事業ターゲットであるBtoBtoCやBtoBtoBtoCにフォーカスした資料が作成できました。メルセネールと打ち合わせを重ねる中で、我々のニーズに合わせ、適宜重み付けを変えながら進行してもらえたのもありがたかったです。 

竹嶋:私も同じ印象を受けました。特に自由度と柔軟性を感じたのは、メルセネールの資料の作り方とその提案です。私たちが実例を説明すると、メルセネールはそれに合わせ、毎回資料を準備してくれました。後半にいくほど、私たちの要求に応じて、やり方を変えていただいたと思います。コンサルティング会社によっては、既成の資料をベースに話を展開することが多いことからも、メルセネールは柔軟性のある会社だと感じました。 

強みは「事業をデザインする点にあり。困りごとの全体像から議論できるパートナー

(取材にご協力いただいた2名とプロジェクトを支援したメルセネールメンバー(両端)) 
今回の支援内容を踏まえ、どのような企業に対しメルセネールを薦めたいと思いますか?薦めたいポイントも交え、お伺いできますと幸いです。 

臼井:事業をデザインすることに悩まれている担当者に薦めたいです。いわゆるコンサルティング会社には各社ごとに得手不得手があると思います。私たちがお話を伺う中で、メルセネールは「事業をデザインする」という点に、特に強みをお持ちだと思いました。事前に一部分を切り取って局所的にお願いするのではなく、一度困りごとの全体像をお伝えして一緒にできること、できないことをしっかりと議論した方がよいと思います。メルセネールの最大の強みは、そういったコミュニケーションを取れることだからです。 

竹嶋:依頼者側のスタイルにもよると思いますが、「素人なので、とにかく教えてください」というパターンの依頼者もいると思います。そういった場合は、「村田さん、それ、ちゃいますわ。こうです!」とバシッと言ってくれる会社さんのほうがフィットするパターンもあると思います。 

一方でメルセネールの場合、私たちがAと言ったら、Aダッシュぐらいのことを言われますし、そのぐらいの距離感で話すことができました。私たちがやろうとしている方向を汲み取り、その都度、説明の方向性を変えてもらいましたし、まさに柔軟性のあるコンサルタントの集まりだと思います。 

最後に、ここまで本事例をご覧くださった方に向けてメッセージをお願いします。 

臼井:新規事業創出で悩んでいる皆さんの課題や悩みは各社各様で、例えば今回の取り組みでは除外しましたが、人材開発などの社員教育や社内政治を含めたインターナルマーケティングで悩んでいる方も多いのではないかと思います。ですので、あまり抽象的なお願いをするのではなく「この部分で困ってるんですよね」と具体的な課題感を正直に話した方が、会社としてもメルセネールとしても力を発揮しやすいですし、メルセネールもそれを理解した上で対応してくれると思います。 

竹嶋:新規事業創出に向けた仕組み作りを考えていく上で、ただ単にやり方を教えてもらうのではなく、そのやり方を自分たち流につくり上げるマインドが必要だと思います。一方マインドだけでは、必ず困難にぶち当たるため、「一定の既存の型やスキルを学習する部分と自分たちで型をつくり上げる部分とのバランス」を考えていくことが重要になるはずです。このバランスを考えながら、メルセネールの皆さんとお話ししていくことが「一番双方が力を発揮できる状況を生む」と感じています。 

お二人とも、ありがとうございました。 

メルセネールでは、新規事業のコンサルティングや人材育成・メンタリングなど、幅広い企業支援を行っております。さまざまな業界、企業規模において実績がございますので、一度詳しい話を聞いてみたいと思われたご担当者様は、ぜひこちらよりご連絡いただけますと幸いです。貴社の現状や課題をヒアリングさせていただきながら、お話をお伺いできればと存じます。2営業日以内(目安)に、担当者からご返信させていただきます。 

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