「事業化の地図を一緒に描いてくれるパートナー」花王の新規事業を支えたコンサルの伴走
伴走型コンサルティング事例
- 【当初の課題】
新製品投入を通じた新市場の開拓においては、生活者の有用性を起点としたビジネスプラン構築のために、従来のマスマーケティングや事業手法とは異なるアプローチをゼロから設計する必要があった - 【導入の決め手】
・経験値に基づいた具体的な議論スタイルと、意図を的確に読み取る着眼点
・コンサルティングサービスを初めて活用するチームでも安心して相談できる距離感とフットワークの軽さも信頼につながった - 【得られた成果】
これまでになかったテストマーケティングのアプローチを提案。事業方針のさらなる具体化にも貢献した。
花王株式会社は、長年にわたり消費財市場を牽引してきた企業です。そのリーディングカンパニーが今、従来の型にとらわれない新しいビジネスモデルへの挑戦をしています。
既存のマスマーケティングや事業手法にそのまま当てはめるのではなく、新製品のタネからの繰り返しの仮説検証を通じて、事業の可能性を具体化していくためのマーケティング方針構築の伴走の伴走役として、メルセネールが選ばれました。
「あまりに限られたリソースと前例のない挑戦に、答えを持っている人は周囲にいなかった」と話すのは、本件のプロジェクトリードを務めた荒木さん。検討メンバーの橋本さんとともに、どのような方法でメルセネールが本プロジェクトに伴走したかをお話いただきました。
目次
「何を相談すればいいの?」からスタートした伴走
本プロジェクトの概要について教えてください。
荒木:私たちのチームは、長年、新製品の開発に取り組んできました。市場やコロナ禍をはじめとする社会情勢の変化に合わせながら試行錯誤を重ねる中で、「この製品で、どんな市場をつくるか」という問いが、ようやく具体的になってきたんです。
ただ、この新製品は花王がこれまで得意としてきたマスマーケット向けではない市場をターゲットとしていました。そのため、事業化に向けた進め方を、ゼロから考える必要がありました。

(荒木様)
従来とは異なるビジネスモデルが必要だったとのことですが、当時チームが直面していた壁について教えてください。
荒木:開発自体は前進していたんですが、ある時点で「成功確率を上げるための仮説検証をどのように進め、磨きこんでいくべきか」を立ち止まって考えるようになっていました。「この製品の有用性をどの指標で測ればいいのか」など、ひとつひとつが初めてのことで、手探りの連続。事業化チャレンジへの進め方も例外ではなく、外部の知見を借りる必要があると感じていました。
そこで「コンサルティングファームに相談しては?」という声が社内から上がって。広告代理店と連携することはよくありましたが、コンサルの方とご一緒するのは初めてで、正直なところ戸惑いが大きかったです(笑)。自分たちがやってきたことを、「型にはめられてしまうのではないか」という心配もありました。
その中でメルセネールを選んだ決め手は何でしたか?
荒木:いくつかありますが、特に印象に残ったのは、「経験値の引き出しの多さ」です。まず複数のコンサル企業に話を伺うところから始めたのですが、各社の提案を評価する軸の1つとして、「人の心理をどう洞察しようとしているか」という観点で見ていました。メルセネールはそこが際立っていて、コンサルタント自身の経験に基づいた具体的な事例を次々と提示してくれて。「ベキ論」ではなく、地に足のついた議論ができると感じました。
加えて、事前にオーダーシートをお渡ししていたのですが、メルセネールは私たちの意図を的確に読み取り、提案に落とし込んでくれていました。「どこに火をつけるべきか」という着眼点が、最初から合っていたんです。
さらに、「フットワークの軽さ」も大きかったです。直接ディスカッションできる距離感は大きな安心材料でしたし、相談の中で私たちの課題感や気になる点も実直に伝えてくださったことも、信頼につながりました。
支援を依頼するにあたって、メルセネールにどのような役割を期待されていましたか?
荒木:一言で言えば、「事業化の地図を一緒に描いてくれるパートナー」です。生活者の方々や花王の想いを踏まえ、事業設計や検証活動を進めていくという発想が最初から合っていました。新製品に込めたストーリーも、検証設計に織り込む考え方は、クリエイティブにも活きてくると感じました。
想定外の事態にも柔軟に対応−−テストアプローチの転換
今回2つのフェーズにわたって支援が行われましたが、最初の第1フェーズについて教えてください。
荒木:プロジェクトのスタート時は、テストマーケティングの設計支援としてスタートしました。どんなKPIを設定するか、どんなアプローチで検証するかなどの議論をメルセネールと重ね、ターゲットの具現化を進めていきました。
この製品の検証で重視したのは、コンバージョンよりも「ファンになってくれるかどうか」という軸です。限られた販売チャネル、リソースの中で、行動や意識の変化を捉えるKPIをどう設計するか。メルセネールには他カテゴリーの事例を持ち込んでもらいながら、検証の解像度を一緒に上げていきました。
順調に進んでいたなか、大きな壁にぶつかったと伺っています。
荒木:プロジェクトの途中で、当初想定していた販売の形が取れなくなってしまったんです。課題の優先順位が激変する場面もありましたが、その都度、伴走内容を柔軟に変えながら対応してもらえました。何か起きた時にこそ、パートナーの真価が分かると感じました。
橋本:私はまさにこのタイミングで参加したのですが、カオスな状況からのスタートでした(笑)。

(橋本様)
そこからどう立て直したのでしょうか?
荒木:ファンの熱量を検証する方法として、「今までに無いようなテストのアプローチ」をメルセネールからご提案いただきました。ディスカッションを通じて出てきたこの発想は、「まだ諦めなくてもいいかもしれない」と思えた、私たちにとって大きな転換点でした。
テスト販売は、どのような結果になりましたか?
荒木:狙い通りの検証が叶ったと共に、想定を超える反響で、準備していた分も売り切れました。
橋本:テスト販売に向けては、メルセネールに現場レベルまで入り込んでもらいました。製品と一緒に同梱する「クリエイティブ」のドラフトも、二人三脚で作り込んでいきました。社内のコピーライターに渡す前の段階から、「何を伝えたいか」「どういうストーリーをセットにするか」を一緒に考えてもらって。クリエイティブにも検証の設計にも、武器になるコンテンツができたと思っています。
荒木:第1弾のテストとはいえ、全てを内製で進めなければならない制約がある中で、関係者の意思疎通を最効率で進める必要がありました。メルセネールと「具体化のベース」を最初に作れていたことが、最短距離での実現につながったと感じています。
「ゴールデンルートを探せ」——さらなる事業方針の深化に向けた第2フェーズ
第2フェーズでの取り組みについても教えてください。
荒木:テスト第1弾の成功を受け、さらなる事業方針の具体化、次なるテストに向けた準備を進めていました。その中でメルセネールから「この期間だからこそできる課題の潰し込みがあるのでは」という指摘をもらったのです。そこからディスカッションを重ねるなかで、新たな切り口が見え、第2フェーズの取り組みが始まりました。

橋本:テーマは「ゴールデンルートを探す」ことです。どのルートでプロモーションをかければファン獲得の確率が高まるか。最初はルートの選定を中心に進め、リアルチャネルの現地視察、D2Cビジネスモデルの追加分析、中長期の販売シミュレーション構築など、事業化に向けた詰めをさまざまな角度から行いました。
メルセネールに継続して支援をお願いした理由を教えてください。
荒木:1度目の伴走を通じて、「どこが課題で、次に何をすべきか」を的確に指摘してもらえるという信頼感がありました。「今までに無いようなテストのアプローチ」も、伴走してくれたからこそ出てきた視点だと思っています。
また、広告代理店とは異なる視点で、「どうやって届けるか」という軸をブラさずに議論できたのがメルセネールとの仕事の特徴でした。だからこそ、深い事業方針の設計ができたと感じていますし、継続の判断にも迷いはありませんでした。
橋本:「こんなに一緒に考えてくれるのか」という驚きが、ずっとありました。「あれもできる」「こういうルートもある」という提案を次々と出しながら、一緒になって走ってくれる。親身さと実行力が両立していたのが、印象的でした。
「新事業の素地をつくる」チームが次に見据えるもの
今回の取り組みを、今後どのように発展させていきたいとお考えですか?
荒木:この製品を、新しい事業として育てていくことが私の目標です。花王には長年かけて育ててきた既存事業があります。一方で市場や社会は常に変化を続けているため、未来を見据えた新しい事業の種を育てていくことも必要だと感じています。このプロジェクトは、少なくとも「有用性を軸とした」新規の進め方のスタディに、その先には新事業展開の素地になればと思っています。
メルセネールが加わったからこそ実現できたことは何でしたか?
橋本:我々が実現したいビジネスモデルに最適な形での、テストマーケティングのあり方を言語化し、実現できたことです。「何を検証したいのか」を整理した上で形にしていくという設計力があったからこそ、今につながっていると感じています。
また、研究開発のメンバーなど、さまざまな関係者を巻き込む必要があるなかで、「この製品のこだわりをどう伝えるか」「熱量をどう感じ取ってもらうか」を因数分解しながら一緒に考えてもらえたことも大きかったです。関わるメンバーが増えるほど、こうした整理の力が活きてくると実感しました。
荒木:もう1つ感じているのは、自分自身の思考が変わったことです。メルセネールとのディスカッションを重ねる中で、「花王らしい思考」だけでなく、外の視点や事例を取り入れながら「変化や難局をどう乗り越えるか」を考え、即行動するようになってきました。それは、彼らが残してくれた財産だとも思います。
― 今回の支援を踏まえて、どのような企業にメルセネールをおすすめしたいと思われますか?
橋本:「この製品やサービスを世の中に広めたい」という熱量を持った方に、ぜひメルセネールと一緒に取り組んでほしいですね。一緒になって走ってくれる、そういうパートナーだと思います。
― 同じような挑戦をしている方々へ、メッセージをお願いします。
荒木:新規事業に取り組む方が感じる孤独や悩みは、どこの会社でも共通しているんだなと、自分自身も感じてきました。このプロジェクトを通じて私が学んだのは、とにかく動き続けることの大切さです。持っているものから始めることを怖がらずに、一歩を踏み出す。気に入ってくださるお客様や助けてくれる人を一人でも多くつくる——その積み重ねが、前に進む力になると感じています。

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